Kさん
81歳、男性♂ 乙女座
【利用】宿泊のみ
●介護度…5
●認知度合…高
●生活機能…低
自力歩行はほぼ出来ない為、日中は車椅子
排泄処理は出来ない。投薬にて排便管理
言語能力にかなり衰えがあり『いいよね』『それ』『お母ちゃん』『コラ』『わからない』などの言葉がよく用いられる
足腰は弱っているものの、野球経験者(継続年数等は不明)という事もあってか肩の肉付きは良い
食欲は旺盛で箸使いは普通に上手。
ただし歯がかなり無い為、咀嚼というよりかは飲み食べしている様子。
●服薬…あり
朝
🔴慢性動脈閉塞改善薬
🔴統合失調症薬
🔴アルツハイマーによる障害抑制薬
夜
🔵慢性動脈閉塞改善薬は
🔵統合失調症薬
🔵高血圧症改善薬
🔵前立腺肥大症の排尿障害改善薬
◆特徴
私の勤務開始当初からの利用者。
聞くところによると【うち】へ来る以前の施設で虐待を受けていたらしく、そのトラウマによる起因からか、特に排泄介助中などに暴力を示す。
なので、バイトであり、業界未経験でもある私は当初から『(怪我をするといけないから)手は出さなくていい』と指示され、食事だけを用意するような感じだった。
ノータッチ。実に楽である。
とはいえ暴れるKさんの手足を留めておく程度の協力はしてたけど、就寝、起床は管理者や社員がやってくれる。
その際に垣間見た、管理者の腕への噛みつきや、女性社員の顔面へのグーパンチ
「なんかエラいとこ来てもうた気が…」となかなか衝撃的だったのを覚えている。
いつからだったか覚えてないのだが、定時を過ぎて送迎を済ませた社員が、Kさんの就寝の為だけに寄り道する形で【うち】へ戻り、介助してから帰る事を何となく「スパッと帰りたいだろうに。ちょっと可哀想かな」と思うようになり
『手は出さなくていい』を無視して、見様見真似で排泄介助〜就寝を1人で済ませた。
なんとか出来た。
(※実はこの記事の加筆、2022/9/18に行っている。
現段階まででもらった暴力は腹へのパンチ2発までで済んでいる。
既に腕力は相当落ちているので全然痛くない。要は射程範囲の見極めが重要なのだと悟った。)
以降は【やれる人】と認知された模様で、まだKさんが寝床についていない状況でも社員は帰るようになった。
今にして思えば、ぶっちゃけ「手を出さなきゃよかったかな」と思う事は屡々ある。
その後でいうと、Kさんの介助で
社員Bさんは手首を痛めて療養中のサポーター使いにクラスチェンジ。
Dさんは入浴介助中に顔に傷をつけられる。
管理者は相変わらずどこかしらを噛まれ続ける。
そんなヴァイオレンスが日常である。
Kさんの統合失調症が虐待前からなのか、後からなのかはわからないが、少なくとも虐待行為の爪痕は1年や2年では癒やされる事はないようだ。
宿泊利用者は月に一度帰宅する義務というか決まりみたいな物があるらしく、以前は帰宅していたのだが、最早身内や奥さんでも手がつけられない状況であるらしく、翌日送迎に向かうと食事も与えられず、排泄処理もされないまま放置されている現状を哀れんだ管理者の意向によってここ一年は帰宅すらすることは無くなった。
時折、Kさんの様子を動画撮影したデータをご家族へ送信しているらしいのだが、息子さん曰く
『まだそんな食欲あるんですね。じゃあ当分生きそうですねー』とのリアクションがあったとの話を聞き、なんだか「不憫な人生だなぁ。コレあと何年続くんやろ。何故この人が?とてつもない業でも背負っているのだろうか?」
と感慨深くなってしまうこともあったり無かったり。
ちなみに介護の現場での虐待というパッと見ホットワードめいた内容を綴ったが、現状のデータとしては利用者からの暴力のほうが大半を占めているらしい。露見しないだけで。
介護する側の件は、そのニュース性の高さから取り沙汰され印象に残るだけの様子。
あとは自身でお調べ下さいませ。
2022/4上旬
【うち】の社員よりコロナ陽性者が出たのちにKさんも陽性が判明。
2週間の隔離期間を経て症状鎮静化→陰性となったのだが、ちょうどそのあたりから左手の動きが悪くなり、食事中にお椀を持とうとしなくなる。
後遺症かどうかは不明。
手を引っ張ってお椀を持たせる事は出来なくもないが、明らかに力が入らない(入れない?)ようになった為、要食事介助となった。